第6話 ドードーの空キッチン 後編

薬膳のテキストを執筆するほどの専門家
アケミ先生 さて…では、話を変えますね。今後のレッスンについてなんですが、発酵レッスンが増えるのですか?それとも、薬膳のレッスンですか?

誉子先生 実は、スパイスを極めたいなって思っているんです。マイキッチンで朝岡スパイスの講師セミナーがありましたでしょ?あれ、行きたかったんですよ。

アケミ先生 あ~、そうでした!事務局から「ドードーの空キッチンの先生が来ますよ」って言われていて、私、先生にお会いするのを楽しみにしていたんです。でね、当日、間違えて違う先生に「ドードーの空の先生ですよね?」とか聞いちゃって(笑)

誉子先生 そんなことがあったんですね(笑)

アケミ先生 事務局に「違いますよ(汗)松本先生は急遽欠席です」って言われて…恥ずかしい思いをしました(笑)

誉子先生 あの時、体調崩しちゃって…スパイスに興味あるので行きたかったです。スパイスって漢方でもあるんです。だから、中医学の薬膳と繋がることがあるのでね。今、流行りでもあるし、スパイス系の料理教室をやっているところがあまりないので残念でした~。

アケミ先生 スパイス、流行っているんですね。

誉子先生 そうなんです。スパイスとハーブの問い合わせがけっこう来ています。

アケミ先生 生徒さんから?ですか?

誉子先生 いえ、スパイスとハーブのテキスト書けませんか?って。薬膳のテキストを書く仕事しているので「こういうテキスト書けますか?」って、色々依頼が来るんです。

アケミ先生 わ~ご著書がテキストだなんて、すごいですね!(大興奮w)たしかに、スパイスは植物ですから、薬膳に取り入れられそうですよね。スパイス薬膳とか、新しい組み合わせで何か書いてほしいです!しかし、薬膳のテキストって…私が受講した薬膳の通信教育、もしかしたら、先生のテキストだったりして!

誉子先生 あら、アケミ先生、薬膳の教育受けていらっしゃるんですね。

アケミ先生 栄養学より中医学の方が好きなんです。でも、薬膳は奥が深くて入り込めませんでした…

誉子先生 ですよね、わかりますよ。私も最初は通信教育でしたから。わからなくて…なので、学校に進んだのですもの。私の時は中国の大学の日本校があったのでね。ブームだったので、中国から教授が来ていたり、ちょうどいい時期だったんですよ。

アケミ先生 深く学ばれているのですね。私は…五味五行…でしたっけ。あれが覚えられなくて。

誉子先生 基本はね、季節に合わせたものを食べるってことと、体質に合わないものは食べないってことです。その食べ合わせを理解していることが大事です。それを知らないと、普段色々と気を付けているのに、その逆のことをやっている可能性があるんです。

アケミ先生 それは困りますね(汗)となると、先生のレッスンは座学ありのレッスンなんですね…あ、だから、ホワイトボード!

誉子先生 ええ、そうなんです。でも、そんなに難しいことはしませんよ。例えば、春にはこういうことに気を付けてね、って感じ。季節によって出やすい不調があって、プラスその人の体質があるので、そういったことも含めてお教えしているんです。

アケミ先生 先生のお話伺っていると、薬膳をもっと学びたくなります。だって、薬膳のテキストを執筆するほどの専門家なのですもの。では、現在予定されているレッスンについて教えてください。

アケミ先生 先生にお願いした事前アンケートでは、将来の展望として、「体力、免疫アップのメニューを中心にレッスンを開催したいと考えている」とありましたが、免疫アップのレッスンってどんな感じになるのでしょう?

誉子先生 中医学で言うと氣のエネルギーを上げるってところですね。補気っていうんですけどね。

アケミ先生 気を補う食材ですか…実は、私、ここのところずっと倦怠感が続いていて…過去にデング熱(日本では珍しいウィルス)にかかったことがありまして、そのせいかな?なんて…当時、治癒後の後遺症なのか、数か月間、倦怠感が抜けなかったんですが、その時の症状に近いんです。今、気が足りていないんでしょうね。

誉子先生 そうね…そしたら、ナツメを食べてみて。

アケミ先生 デーツですね。

誉子先生 ナツメはデーツではないんですが、まあ、デーツでもいいですよ。我々の年齢の女性は(孫がいる年代?)赤い実を食べるといいんです。赤い実は、補気の力があるので、ナツメとクコの実は食べて欲しいですね。

アケミ先生 クコの実っていえば、杏仁豆腐に入っているのしか思いつかないんですが…

誉子先生 あんな一粒だけじゃだめですよ(笑)毎日40gのクコの実を食べると300歳まで生きられるって言われているくらい免疫を上げる食材なのでね。シリアルと混ぜたり、ベリー系のフルーツと一緒にパンケーキのソースにしたり…あとお茶に入れたり。本当にからだを治したかったら、毎日一握りのクコの実を食べて。

アケミ先生 これって美容薬膳ですね。女性に特化した…知らない方が多いと思うので、ぜひたくさん発信してほしいです。

誉子先生 ナツメもね、一日3個食べれば婦人病にならないって言われているんですよ。胡桃も女性に食べてほしい食材です。

アケミ先生 胡桃はストックあります!じゃあ、さっそくナツメとクコの実探します!

誉子先生 腎を補うことになります。腎はアンチエイジングの要ですから。腎の力が弱まると白髪やしわが増えるって言われているんですよ。そこで胡桃なんです。腎の力を強める食材です。

アケミ先生 え~~!腎が要とは!それも初めて知りました!とても勉強になります!…って、授業受けているみたい(笑)

誉子先生 婦人病といえば、生理痛は中医学が得意とする分野なんです。中国って昔は国を強くするために子をたくさん産みなさいという政策だったんです。女性がいかにたくさん子供を産めるかってところで、徹底していました。例えば生理中は冷やさないように水仕事をさせないとかね。

アメリカ在住時に食でからだを壊したことがきっかけで中医学の道へ
アケミ先生 さて、また話を戻しますが、展望は他にありますか?

誉子先生 実は、娘がオーストラリアに住んでいるので、将来、私もオーストラリアに家を持って、あちらで月餅ショップやろうかな、なんて。外国なのでカラフルな食材でね。もちろん、天然の素材を使って…たとえば、ビーツの粉を使えばピンク色になりますから。

アケミ先生 外国の方ってパステルカラー好きそうですものね!紫芋でパープルカラーの月餅もよいかも!…オーストラリアかぁ~(目がハートw)素敵な計画ですね。オーストラリアのどちらなのですか?

誉子先生 メルボルンなんですけど、食べるものが美味しいんですよ!コーヒーが美味しい!オーガニックが浸透していて、からだにいいものを意識している人が多いんです。暑いから自然発火して山火事も多いんですけれど、人が穏やかで。

アケミ先生 オーストラリア、行ってみたいです!お嬢様は学校もオーストラリアだったのですか?ご子息はスコットランドでしたよね。先生のお子様たち、バイリンガルなんですね!

誉子先生 夫がニューヨーク駐在だったたんです。それなので、私以外は英語が堪能です。息子はアメリカ人のお嬢さんと結婚しまして、スコットランドの教会を手伝いしているんです。お嫁さんのお父様が牧師なんですよ。

アケミ先生 え!先生はアメリカ在住だったのですか。赴任終えて戻られたのはいつですか?帰国後にこちらでカフェをオープンされたのですよね?

誉子先生 11年前ですね。

アケミ先生 アメリカにお住まいだったのに中医学っていうのは、学ぶにあたって何かきっかけがあったのですか?

誉子先生 ええ、アメリカに住み始めた頃、カルチャーショックを受けたんです。当時、ホットドッグとかハンバーガーとか…食がいい加減だったんですよね。娘の友達がお医者さんのおうちだったんですが、遊びに行くといつもこんな大きなアイスクリームとクラッカーとかね、出すんですよ、夕飯前に。

アケミ先生 日本とは量が違いますよね。

誉子先生 それでね、「え~こんな時間に食べさせていいの?」ってママに聞くと、「平気よ~。だって、この中に糖質もたんぱく質も入っているんだし…」って。それで、人間ってこんなのでも大きく育つんだ、私、考え過ぎていたのかしら、って、アメリカの食事に合わせるようになったんです。もう色々考えるのやめようって。で、あっという間に病気になりました、私が。

アケミ先生 先生がなっちゃったんですね。アメリカにいた時ですか?

誉子先生 いえ、日本に帰ってきてからです。次々に色々な病気になってあちこちの病院めぐりでした。その時に、「アメリカ人はあんなに元気なのに、なぜ私は病気になったのかしら」と考えたことが中医学を学ぶきっかけです。体質があるんですよね。アメリカ人と日本人は違うってことに気付いたんです。体質が違うアメリカ人の真似してはいけなかったんです。

アケミ先生 なるほど。その後、どんな道を通って中医学を学ばれたのでしょう。

誉子先生 食事法を独学で学んだり、野菜だけ食べたり、とやっていたのですが、4千年以上の歴史のある昔からある中医学がいいんじゃないかって。それで、中医学の勉強始めたんです。結果、自分が摂ってはいけないものをやっと理解してよくなっていったのです。

ここで、飼い犬ベニー君登場。保護犬のベニー君は、つらい思いを経て松本ファミリーの一員に。最初はおびえていて、一年経ってやっと抱っこさせてもらえるようになったそうだ。

誉子先生 この子ね、保護した時は、全身白髪のようで色がなかったの。痩せ細っていたので、馬の肉を食べさせて元気になったんです。

アケミ先生 えッ!ベニー君、まつ毛長い!どうしてそんなに長いの?いいなぁ、うらやましい(笑)

誉子先生 エクステはしてませんよ~(笑)

アケミ先生 あはは(笑)食べ物ですかね?馬の肉かしら?その技を人間にやったら、私も「まつエク」要らずになるのかしら~(笑)

誉子先生 タンパク質ですね。中医学では、髪の毛は血の余りっていうんです。生きるために使う血が余ったら毛を作るって言われています。血が良くないと毛が悪くなるんです。でね、頭皮の毛穴が歪むと真っすぐ生えないんです。頭皮ってだんだん固くなってくるんです。脂肪層なんですけど、ここがプカプカの方が真っすぐ生えるんです。

アケミ先生 さすが、詳しいですね。その髪の毛の知識は、中医学なんですか?

誉子先生 いえ、実は、日本に戻ってきてから、頭皮の研究室に就職したんです。

アケミ先生 その話も聞きたい!(ワクワク)もしかして、シャンプー作っていた…とか?

誉子先生 育毛剤の研究室です。

アケミ先生 わ~!だから、ベニー君の毛が復活して、まつ毛までフサフサになったんですね!育毛剤を作る研究室にいらしたとは、またしてもビックリです。

誉子先生 でも、中医学も関係しています。毛は血の余りですから、髪の毛の健康のためには血がたくさんあることは重要なんですよ。

アケミ先生 それで、馬肉(血が多そう)。髪の毛にいい食材ってワカメしか思いつきません。ベニー君は先生のお宅に選ばれてよかったですね。

誉子先生 あら、ワカメは髪の毛関係ないですよ(笑)

アケミ先生 えええ!小さい頃、髪の毛のために食べていたんですけど(涙)…って、先生と話していると終わりません(笑)名残惜しいけれどここで締めます。ありがとうございました。

以上、対談終了。



インタビュー中、またしても、話が脱線、脱線、の繰り返しであった(いつものことなのさ。ははは)。誉子先生の朗らかな笑い声が立つスペース、みんなの希望の空「ドードーの空キッチン」。そう、先生の教室名「ドードーの空キッチン」は、食を通して人々を励ますことをミッションとして、「ここは希望の空」っていう意味が込められているのだそうだ。たしかに、誉子先生とお話していると、食べ物を通して元気になれそうな希望が湧いてくる。しかも、保護犬ベニー君の復活を目の当たりにしちゃったものだから、そりゃ、自分の不調が良くなる希望は持てましたよ。でね、可笑しかったのが、何時間でも健康ネタで話し続けられるってこと。ネイルの話になっても、爪が弱くなった話題にすぐさま移り「爪を強くするには補気ですか?」「はい、血ですね」なんてね…(笑)おしゃれなどの女性特有の話題にならない!食の話、健康の話が延々と…。食できれいになりたい方、食で体調整えたい方は、ぜひ誉子先生のレッスンを受けてください。本気出せば望みどおりになれそうです!だって、先生の教室は、「希望の空=ドードーの空キッチン」なのですから。

取材先:ドードーの空キッチン

取材後記
インタビュー時期、体調が整っていなかった。ホルモンバランスが崩れていたようで、朝から晩まで風邪の初期症状のような倦怠感。出かけるのも億劫でしんどかった。しかしながら、インタビューは楽しくて、体のしんどさを忘れるくらい。しかも、何を食べればよいかアドバイスをいただけて助かった!薬膳のテキストを執筆するくらいの知識をお持ちの誉子先生からの助言だもの。帰りにナツメを探したのは言うまでもない。胡桃も11キロ仕入れた。そうして、胡桃とナツメ入りのグラノーラを作り続けていたら、なんと胡桃の在庫はあと1キロ!どんだけ胡桃を食べているんだ?(笑)でも、なんとなく調子がいいように思えてうれしい(プラセボ?)。いや、プラセボでもなんでもいいんだ。健康第一だな~と感じるこの頃。誉子先生にもっと教わりたい!でも、まずは月餅レッスンからかな。月餅コースをやってほしい!毎月、型が変わったり、中身が変わったり、楽しそう。誉子先生に打診したら、「そうですね。そしたら、道具付きでやろうかしら。6回コースかなぁ」と。中秋節までに作れるようになろう!って生徒さんが殺到しそうですね!

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ドードーの空キッチン
東京都/三軒茶屋駅
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取材・撮影・文
Class A's Kitchen
中尾明美